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【先のブログ補遺】公認会計士としての意見ー会計基準の弾力的・柔軟な対応について

【ブログ補遺】 先のブログでは会計基準の弾力的・柔軟な対応と過度な悲観を避けた見積もりを、という点に関する私の考えを書いた。 現在、少なくない有識者から今回の新型コロナ禍は、私もさすがに経験していない教科書でしか知らない「世界大恐慌」以来の100年に一度の経済危機になりうるという問題提起と、そこに世界中の英知を向けようという強い思いとが示されている。 その認識に私も立つからこそ、冷静になって目先のことだけでなく、真に未来のことも考えた逃げない企業会計処理を期待する。 過度に悲観になるな、という意見の背後には、不安を煽るなという意味もあるが、理性的な判断を国民から奪いとることにもなる。今回の危機は国民の目を不安から逸らすことからでなく、正確な情報の公開と具体的な政策の実行からでしか解消できないと思う。 時代は大きくかわる。将来の見通しは大きくかわる。そのことをふまえて企業は最善を尽くして見積もり、行動してほしい。 減損すべきもの、引き当てるべきものはシビアに会計的な手当てをした上で、新しい投資やビジネスを価値観の大きく変わるだろう環境の下で積極的に始めてほしい。正しいディスクロージャーを守るのが私たち公認会計士の使命である。 なまじっか不要なものを会計上も実体上も残しておくと、将来の足枷手枷になるのだから。 今回の危機を真っ直ぐに受け止めることからしか将来はない。会計、監査、財務報告はそのための物差しとしての役割を果たすことが本分である。 私は、人間の底力を信じている。 Always One Step Ahead CPATOYOSHIOFFICE network 公認会計士東葭新事務所 代表 東葭 新 arata@cpatoyoshioffice.com

日経新聞【決算のコロナ影響緩和 引当金や減損、世界で柔軟対応-経済収縮のリスク回避 】について

日経新聞【決算のコロナ影響緩和引当金や減損、世界で柔軟対応-経済収縮のリスク回避 】2020年4月24日22時12分を読んで感じたこと。 こんにちは。公認会計士の東葭(とうよし)新(あらた)です。 先の4月3日に日経新聞より出た【店舗・工場の減損見送り 金融庁など新型コロナに対応】という記事に対して僭越ながら感想と意見を述べた。この記事の見出しや本文の内容が、さも、一般に認められた会計基準、特に減損会計を場合によっては適用しなくてよいともとられかねないトーンが強く出ているように感じたからである。ご興味のある方は粗い文章であるが弊事務所のフェイスブックを参照されたい。 その後具体的な新型コロナの影響に対する考え方として、2020年4月9日に開催された企業会計基準委員会より「会計上の見積りを行う上での新型コロナウィルス感染症の影響の考え方」が議事概要として公表され、2020年4月15日に日本公認会計士協会より「新型コロナウィルス感染症に関連する監査上の留意事項(その3)」として公表されている。同時に上場会社による有価証券報告書の提出期限の3ヶ月自動延長や決算短信の発表や株主総会の延長・延期対応の容認・推奨が各監督官庁等から発出されている。このことは、新型コロナの感染を防ぎつつ、時間を用意することによって今まで通り意味のある財務報告を行えるようにした施策と捉えることができ、合理的な対応であると認識している。 さて、本題に入る前に、2020年4月9日に開催された企業会計基準委員会より議事概要として公表された「会計上の見積りを行う上での新型コロナウィルス感染症の影響の考え方」の中身をみてみたい。最初に断っておくが、その内容は監査を専門としている公認会計士にとって“当たり前”の内容であり、新型コロナのような10年に一度程度の経済危機に対する会計上の見積もりをどのように行うべきかを改めて整理したものであると私は理解している。 具体的な内容に入ろう。当議事概要を引用している部分を「 」で示す。現代の財務会計では、「固定資産の減損、繰り延べ税金資産の回収可能性など、様々な会計上の見積もりを行うことが必要となる。」ただ会計上の見積もりは将来を予測する必要があるので、その予測に必ず不確実性を伴う。そこで会計基準は「不確実性がある場合において、財務諸表作成時に入手可能な...