まず、公認会計士が独占的に社会に“監査”という財を供給する意義を考える(その1 進め方)

 これから様々に社会(一般投資家)よし、企業よし、会計士よしの三方よしの監査を考えるにあたり考慮しなければならない事項は膨大にありますが、まずは最初に整理しておきたいことがあります。(ここではあるべき“監査”を定義することを目標とはしていません。考え方の前提をあくまでラフに整理したいというものです。)

 まず、一つめは三方よしの監査を実現するために公認会計士の資質として何が求められるかという点です。この求められるという意味については、例えば会計のルールを知っている、監査基準を知っている、英語検定をもっているといったリストアップ的に量で定義されるものではなく、もっと人間性や学習を継続できる力だったり、深く相手を理解できる力、努力できる力、感受性だったりするものがベースにあってその上に付加的にスキルや経験があるとベターというような感覚をもっています。これからは一層多様な人材がどの場所でも求められることからも一律な定義の仕方は存在しないし、存在したとしても色々な場面や時代により変わってくるものと思います。また、いつでも変わらないものは定義されるものではなく、仲間やクライアント、社会から信頼され仕事を任されているという状態でしか表せないものだと感じています。当ブログではこのテーマを大きなものの一つとして扱います。

 次に、二つめに監査は複数の会計士(通常は監査法人)により実施されることから監査法人の運営の在り方が公認会計士個人の資質以上に大きな影響をもつと思われるという点です。現在の制度のもとでは法人が個人に与える影響力がとても強くなっているからです。そしてこの法人の運営の在り方という意味は私の中でも漠然としていて、マネジメントのやり方であったり、業務のアサイメント、構成員の育成や動機づけ、そして現在はやりの働き方(多くの方には働かされ方という感覚のほうがしっくりくるでしょうか)といったものが入ると思いますが、ほかにも様々なテーマがあがってくると想像します。

 最後に、3点目は監査という財を需要する側である社会(一般投資家)及び企業による監査という財に対する理解の状況、さらに社会(一般投資家)及び企業と、監査という財を供給する側である監査法人(公認会計士)との関係(単純な法律上の関係だけでなく、人間的な相互信頼・相互理解の程度、両者のもつ感情、報酬の多寡に対する感覚の違い、監査という財の質に対する解釈の対立などなど)のあり方です。

この大きく3つの切り口でブログの内容をいったんはラベリングしていきたいと思います。それぞれご興味のあるところについてお読みくださり、何か感じるものがありましたら、どのようなことでも構いませんのでお知らせいただけると嬉しいです。

以上で本日のブログは終わっても良いのですが、少しだけ次回以降のさわりを書きます。

私は、公認会計士の資質を考えるとき、理想というか方向ということで、まずは次の三点でまとめた切り口から進めていきます。あくまでひとつの切り口ということで。。

 1.公認会計士は時代を認識する力をもつものである。なぜなら、過去からつながり現在進行形にある担当企業の今を監査して意見を表明する仕事だから。

 2.公認会計士は歴史(過去)から学ぶことができる者である。学ぶことができるとは、どんなに客観であろうとしても主観で塗り固められることを避けられない歴史を、その背景にある多様な価値観を冷静に理解しながら現在に生かす知恵を抽出する力を進歩させていく能力をもっている(もつ努力をしている)ことである。なぜなら、継続企業の歴史から人為的に切り出した一定期間に対して「適正」、「不適正」、「意見不表明」を自ら表明する者だから。

 だから、
 3.公認会計士は、1.2.の力を手に入れるために人間というものを多面的・多次元的に深く理解しようと永遠に努める者である。なぜなら、監査とは究極、人間の営み、行動を一定の規則のもとに記録したもの(会計とよぶ)に対して、絶対的な真理・真実がない(ないということが不適切であれば、恐ろしく限定された条件でした満たされない)状況でベストを尽くして得た情報と合して意見を表明する勇気をもつものであり、その全プロセスと結論について社会に対して説明責任をはたし、かつ社会から信頼されることができる者である。

それぞれについてはこれからのブログにて具体的なエピソードにて進めますのでご覧くださると嬉しいです。

【追記】
私は上記3点を意識していれば、個性豊かな人間性と経験をもった公認会計士がいてよい(いたほうがよい)と思っておりまして、勝手ながら私の思うところを書いて参ります。あくまで10万分の1の意見ですが、何かしらの参考になることがあれば有難いと心より願っております。


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